在宅勤務やリモートワーク、テレワークと呼ばれる働き方が、日本国内でもこの10年ほどで徐々に浸透してきました。しかし、多くの人にとって、在宅勤務の経験は子供の急病時や大雪・台風などの悪天候時に限定されていたのではないでしょうか? Wrike 社では、新型コロナウイルスの感染拡大により世界的にリモートワークを推奨・準強制する企業が増えていることを受け、こうしたリモートワークを従業員がどのように受け止めているのか、北米地域を中心に匿名のアンケート調査を実施しました。アンケートの数値自体は、日本にそのまま適用できるものではありませんが、従業員の本音レベルでの不安や困りごとが分かる最新資料としてお役立て頂ければ幸いです。

アンケートは2020年の3月11日〜12日にかけて実施され、従業員規模200名以上の会社にフルタイムで勤務する約1000名の方から回答が得られました。 アンケート実施の趣旨としては、1. 従業員およびチームのマネージャーが在宅勤務をどのように受け止めていて回答結果に世代差はあるのかと、2. 新型コロナウイルスに対する緊急対応で導入された長期間の在宅勤務に対して勤務先が制度やITツールの面で準備を整えられていたかどうかを明らかにすることを目的としていました。

北米地域を中心とした調査結果ではありますが、個人レベルでも在宅勤務での生産性や評価制度などに関してさまざまな意見があること、また会社や部門によっても社員の在宅勤務を支援する体制の充実度には大きな差があることが分かる最新資料として、チーム内での会話のきっかけなどに是非お役立てください。

データ1:半数近くの回答者が、短期的にでも在宅勤務を経験したことがなかった

アンケート回答者の半数近く(49%)が、過去に在宅勤務を経験したことはなかったと回答しています。 また、回答者の23%は、在宅勤務を経験したことはあったがかなり限定された状況(子供の急病や、大雪・台風などの悪天候時)だったと述べています。 フルタイムでのリモートワークを経験したことがあった方が9%、部分的にリモートワークを導入して1週間のうち数日を在宅勤務にあて残りの日を出社している方が9%でした。

多くの社員にとって在宅勤務の本格的な導入は初めての経験であることを踏まえると、生産性がなかなか上がらなかったり特定の業務がうまく回らないなどの社員の悩みに会社が寄り添う姿勢を見せることが重要だと考えられます。 また、チームのマネジメントを行う立場の方にも、リモートワーク中にきちんと昼休憩をとるなどのちょっとしたコツやご自身の経験に基づくアドバイス(例:在宅勤務でも朝に着替えをした方がよい、など)を交えながらメンバーの困りごとを定期的にヒアリングし、チームの目標についても周知することが求められます。

データ2:従業員の多くが、長期のテレワークで生産性を維持できるか不安を抱えている

先述したアンケート調査において、回答者の43%が、リモートワーク中に出社時と同程度の効率では業務を遂行できないと回答しています。 さらに、全社レベルでの生産性については、52%の回答者が、リモートワークの長期間の実施によって大きく低下するだろうとの見通しを述べています。

これまでに在宅勤務の経験がほとんどなかった方を中心に、多くの従業員にとって、リモートワークでの働き方を身につけるまでのプロセスはそれほど容易ではないと考えられます。 具体的には、自宅ではつい別の用事に気を取られがちであることや、仕事用のスペースや会社と同等のIT環境を用意することの難しさなどが課題となりえます。 特に、リモートワークに完全に対応したIT環境の用意が進んでいない企業では、プロジェクトの遅延などの影響も覚悟する必要があります。

リモートワークの導入時には、たとえ事後になったとしても、生産性を向上できるITツールの用意と制度面も含めた業務の仕組みづくりを進めていく必要があります。

 

「在宅勤務でも出社時と同じ効率を維持できるか?」という質問への世代別での回答結果
緑色:はい、赤色:いいえ
世代の区分は左から「26〜40歳」、「41〜55歳」、「56〜74歳」となっています

在宅勤務に関する従業員の意見のアンケート調査(2020年)

データ3:オンライン上での共同作業は、メールに過度に依存している企業が多くリモートワークの壁となっている

アンケートでは、40%の回答者が、勤務先の企業では在宅勤務を有効に行うためのITツールが導入されていないと回答しました。 また、チャットツールやインスタントメッセンジャー、共同作業用のワークマネジメントプラットフォーム(CWM)の普及が進みつつある一方で、電子メールの普及率が最も高く(82%)、続いて音声会議用のツール(65%)という順番になっています。

3位以降のツールの普及率は次の通りです。

  • ビデオ会議ツール(50%)
  • チャットツール(46%)
  • G Suite や Office 365 などのクラウド型のオフィスツール(48%)

オンラインで利用できる共同作業用のツール

生産性と従業員満足度について、Wrike が2019年12月に実施した社外調査(英語記事)では、いつでもどこからでも仕事を行えるかどうかが、生産性と従業員満足度(エンゲージメント)の両方に影響するとの回答結果が得られています。 このことから、新型コロナウイルスの感染拡大の前からも、オンライン上で共同作業を行えてタスク管理やチーム内の進捗管理も行えるワークマネジメントツールの導入を求める声は大きかったことがわかります。

多くの企業で主なコミュニケーション手段として使用されているメールは確かに便利なツールですが、 返信を続けるうちにプロジェクトの重要な情報や意思決定がこぼれてしまったり、やり取りが狭い範囲に閉じがちであるなどの課題も抱えています。また、多くの方が、プレゼン資料や文書、デザイン案などを承認用に回覧しているうちに、最新のファイルバージョンが分からなくなった経験などをお持ちではないでしょうか? コラボレーション用のワークマネジメントツール(CWM)やプロジェクト管理ツールを導入することで、こうした課題を解決し、チーム内のタスク情報や進捗、文書、ファイルを一つのツールに集約して共同作業をスムーズに進めることができます。

また、電話での通話ももちろん有効ですが、お互いの顔が見えるビデオ会議の方が、問題をこじらせることなくより簡単に解決できるケースも多いです。 さらに、それまで在宅勤務をほとんど経験していなかったメンバーがリモートワークに移行すると、顔の見えるコミュニケーション量の低下に不安感や孤独感を覚える可能性もあります。こうした場合にも、ビデオ会議ツールの導入や簡単な朝会形式でのビデオ会議の実施などが、チームの絆を保つための有効な選択肢となりえます。

データ4:リモートワークでの成果評価に関して不透明感を覚えている従業員も多い

リモートワークの期間が長期化すると、成果評価をどのように行うのかという点も大きな課題となりえます。 この点に関するアンケート調査では、「リモートワークでの成果がどのように評価されるかよく分からない」と答えた割合が、マネジメント職よりもそれ以外のスタッフで2倍近く高くなっていました。

全体の数値でいうと、マネジメント職も含めた従業員の31%が、リモートワークでの成果評価の方法についてよく分からないと回答し、21%が「お互いの信頼」以外の評価方法がないと回答しています。

ただし、回答者の71%が、同僚はリモートワーク中も出社時と同等かそれ以上の生産性を維持すると信頼しているとポジティブに回答している点は注目に値します。とはいえ、個々のタスクを効率的に実行できるようにするだけでなく、タスク間の優先順位付けをしっかりと行い、プロジェクトの目標がチーム内で共有されるようにすることは、リーダー陣の責任です。 プロジェクト管理ツールを導入して、タスク情報と成果物、進捗や工数などの情報を集約することは、チームメンバーそれぞれの頑張りを「見える化」して適切に評価することにつながります。 また、在宅勤務中のチームメンバーが一人で問題を抱え込んでしまわないように、リーダーがメンバーの困りごとにいち早く気付き、適切なサポートを行うためにも、適切なツールを活用してのチーム状況の可視化は重要です。

データ5:世代別で異なるテレワークの捉え方

記事内の最初のグラフでも示したように、26〜40歳の若手世代はリモートワークに肯定的で、56〜74歳の世代に比べて、「在宅勤務でも出社時と同等の成果を出せる」と答えた割合が 44% 高くなっています。 逆に、56〜74歳の世代は、「在宅勤務では出社時と同等の生産性は達成できない」と答えた割合が、26〜40歳の世代と比べると51%高く、41〜55歳の世代と比べても19%高くなっています。

さらに興味深いことに、26〜40歳の世代は、在宅勤務における自分自身の生産性だけでなく、テレワークを支える社内のITツールの充実度についても肯定的に答える傾向が高くなっています。 26〜40歳の世代では、リモートワークへの移行に必要なIT環境が揃っていると回答する割合が、41〜55歳の世代と比べると10%、56〜74歳の世代と比べると20%高くなっています。

また、勤務先企業による新型コロナウイルスへの対応状況についても世代間で評価が分かれており、26〜40歳の世代では、会社の対応が不足気味と答える声が26%となっている一方、41〜55歳の世代では18%、56〜74歳の世代では12%となっています。

勤務先企業による新型コロナウイルスへの対応状況に対する評価
青色:不足気味、赤色:過剰気味、黄色:適切な対応を行った
世代の区分は左から「26〜40歳」、「41〜55歳」、「56〜74歳」となっています

プロジェクト管理ツール Wrike(ライク)創業者の Andrew Filev による調査結果の分析

「アンケート調査により、従業員によって在宅勤務に関してさまざまな意見を持っていることが分かりました。ただし、多くの企業が在宅勤務の推奨・半強制を長期間にわたって実施する仕組みやIT環境を準備できていない点は、憂慮すべきポイントです。 具体的には、社内のコミュニケーションと共同作業について過度のメール依存を脱却し、リモートワークでも素早くコミュニケーションをとって的確にすり合わせを行えるツールを導入する必要があることがはっきりと分かります。 また、それぞれの社員が担当するタスクの実行という面でも、出社時と同じ感覚で在宅勤務でも業務を遂行できるツールへの適切な投資を行うことが企業には求められているといえるでしょう」

このように述べる Andrew Filev は、テレワークで働くチームを支援するための適切な投資を行い、仕組み面も含めて在宅勤務でも気持ちよく働ける企業文化を醸成していけるかどうかが、今後の企業の競争力に直結していくであろうことも指摘しています。

リモートワークでの生産性向上を Wrike(ライク)にお手伝いさせてください

情報が散逸しやすくタスクの抜け・漏れも多いメール中心のコミュニケーションを脱却し、リモートワークをスムーズに進めるには、さまざまなプロジェクトに関する情報共有や進捗管理を一つのツールに集約することが有効です。 これにより、在宅勤務に慣れていなかったチームメンバーも本来の実力を発揮していけるだけでなく、マネジメント層がチーム内の作業負荷の偏りなどの問題にいち早く気づくことができ、必要に応じてタスクの担当者や優先順位の変更を行うことができます。また、リモートワークの課題となる成果評価についても、透明性を確保しチーム内の納得感を高めることができます。

今後の見通しが立ちにくい時期にこそ、さまざまな力を結集して環境と仕組みを整えていくことが必要です。Wrike社は、チームの柔軟な働き方と生産性の向上を実現する製品を提供するだけでなく、サポート部門やプリセールス部門も含めて、一丸となって皆さまのテレワークへの挑戦をお手伝いさせて頂ければと考えています。

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