自覚していてもいなくても、人は毎日、職場の中でも外でも非同期コミュニケーションを行っています。 電話の画面が光ったり、受信トレイに新たなメールが加わったり、何らかの通知を受けた人は常に、非同期コミュニケーションの相手側です。

メールやメモ、ダイレクトメッセージなど、即座の返事を期待しない連絡に使っているのが非同期コミュニケーションです。 それとは逆に、リアルタイムで交流するときは、同期コミュニケーションが使用されます。例えば、電話やテレビ会議、対面式のミーティングなどが、同期コミュニケーションの形式に分類されます。

最近は、オンラインの作業環境での連絡手段として、非同期コミュニケーションが頼りにされています。 しかし、効率性が不可欠とされるペースが速い世界では、非同期コミュニケーションに頼るのは逆効果に思えるかもしれません。

今回は、非同期コミュニケーションとは何か、同期コミュニケーションと何が異なるのか、非同期コミュニケーションをどのように使用して職場の効率性を最大化できるのかについて、完全に理解できるように説明いたします。

非同期コミュニケーションの説明

非同期コミュニケーションとは、携帯電話から送るテキストメッセージ、職場のコンピュータで送信するメール、プロジェクト管理ソフトウェア内に貼り付ける伝言など、 すぐに返事が得られないタイプのコミュニケーションです。 

もちろん、相手はすぐに返事をするかもしれませんが、互いが同時に意思疎通ができる、生の会話をしているわけではありません。 

非同期メッセージングとは 

非同期メッセージングは、ソーシャルメディアのプラットフォームや職場のコミュニケーションソフトウェアなどを使用するときに、ほとんどの人が日常的に行っています。 

誰かまたは何か(チャットボットなど) とその場で会話することなく、その相手にメッセージを送るプロセスのことを指します。

非同期コミュニケーションと同期コミュニケーションの違い

非同期コミュニケーションと同期コミュニケーションの違いはただ1つ、いつ会話が行なわれるかという点です。 

例えば、メールを送る場合は、相手はそのメールを読むまで返事をしないので、無反応の時間があります。 Zoomで電話をしたり、チームミーティングを開催する場合は、誰かがすぐに反応すれば、同時的な会話ができます。

新型コロナウィルスの大流行前の同期コミュニケーションの例には、給湯室での雑談や、同僚の席での会話、対面でのミーティングがありましたが、 今は、ビデオ通話がより一般的です。

非同期コミュニケーションは、それを円滑に進めるプラットフォーム面で飛躍的に進化したので、リモートワークでのコミュニケーションやコラボレーションが容易になりました。

非同期コミュニケーションの例

非同期コミュニケーションがどういったものか分かったところで、現在の作業環境での例をいくつか見てみましょう。

  • メール:メールを送る時はいつも、返事はすぐには来ないと思っています。 昔ながらの非同期コミュニケーションの方法の1つで、今も活用されています。
  • メッセージング:メッセージングは(インスタントメッセージングを除けば)、相手が時間がある時に返事ができるようにメッセージを書いているので、非同期コミュニケーションです。
  • 社内メモ:社内メモやニュースレターは非同期コミュニケーションの一種に分類できます。 多くの場合、反応は全く必要とされておらず、反応があったとしても、瞬間的ではありません。
  • 録画ビデオ:Loomのようなサービスは、その場で会話をせずに、同僚やフリーランサーに物事を説明する手段として人気が上昇しています。

非同期コミュニケーションの使用が適している状況 

非同期コミュニケーションは、チームメンバーや同僚に連絡を取りたいけれど、即答が欲しいわけではない時に最適です。

非同期コミュニケーションを使うと便利な状況をいくつか挙げました。

  • 自分の仕事が進んだので、同僚に報告したい
  • タスクが完了し、同僚のレビューを必要としている
  • プロジェクトについて上司に質問があるが、緊急ではない
  • チームメンバーの仕事の進捗を知りたい
  • 同僚に説明することがあるが、電話をする時間がない  

同期コミュニケーションの例

2つのコミュニケーションの形式の違いを明確にするために、同期コミュニケーションの例をいくつか見てみましょう。

  • インスタントメッセージング:一部のメッセージングツールでは、テキストベースの迅速なコミュニケーションが容易にできるようになっています。 キーボードを使って、次々と会話をするコミュニケーション方法は同期コミュニケーションに分類できます。
  • ビデオ通話:Zoomでの電話は、リアルタイムの会合になり、必要な時にいつでも返事がもらえるので、常に同期コミュニケーションです。
  • 対面式ミーティング:Zoomでのビデオ会議の前身である対面でのミーティングでも、リアルタイムの会話が可能です。
  • 職場での雑談:同僚の席に寄って雑談をする場合はいつでも、同期コミュニケーションを行っています。
  • 電話:電話もまた、同期コミュニケーションです。

同期コミュニケーションが最適な状況 

同期コミュニケーションは、リアルタイムでチームメンバーと話しながら計画を立てる必要がある時に最適です。 同期コミュニケーションが有益な状況をいくつか挙げました。

  • 部門間の機能の横断的コラボレーションを促進し、チームビルディングのエクササイズを使って場を和ませたい
  • プロジェクトの新しい行動指針を決定する必要があり、ブレーンストーミングでアイデアを出し合いたい
  • 個人の成績や職場での出来事など、デリケートな問題について議論をしたい
  • リアルタイムの会話でなければ伝わりにくい複雑な考えを伝える必要がある

非同期コミュニケーションのメリット

昔ながらの対面でのミーティングが最も効果的だと考える人も確かにいますが、常に最良のアプローチとは限りません。

実際、Buffer社が2022年に発表したリモートワークの現状に関する報告によると、52%の従業員が、非同期コミュニケーションを優先する職場環境を受け入れると回答しています。 つまり、多くの人が対面で会うよりも、非同期メッセージングを使ったコミュニケーションを好むのです。

その理由も簡単に理解できます。

分散しているチームに向いている

例えば、リモートワークの観点から要因を考えましょう。チームメンバーは世界中に散らばり、時差も様々です。 国際的な職場では、同期コミュニケーションは難しく、非同期コミュニケーションがデフォルトになり得ます。

分散型のオンラインチームを構築するなら、非同期コミュニケーションの方式に慣れることをお勧めします。チームメンバー全員を、それぞれの就業時間外に電話会議に招集することなく、全員と情報を共有できます。 

例えば、チームが次に取り組むプロジェクトの詳細の概要説明を事前に録画し、メンバーがそれぞれの勤務開始時に見るようにすると良いでしょう。 

集中力が増す

仕事での効果的なコラボレーションが実現できることが、非同期的コミュニケーションのもう1つのメリットです。というのは、リアルタイムの会話は進捗を妨げる恐れがあるからです。 仕事の手を断続的に止めて、電話で会話をしていては、気が散ってしまいます。 電話後に気を引き締め直して仕事を再開するまでには、数分かかるかもしれません。

Forbes誌による時間管理データの分析では、71%の人が、仕事が頻繁に中断されると答えています。 断続的に邪魔が入る状態は非効率的で、チームメンバーは創造性を発揮したり、有意義な仕事に従事する時間を確保できません。

メッセージやメールを送る非同期コミュニケーションは、同僚の仕事の流れを邪魔することはありません。 仕事中は通知音を消していたり、メールチェックの時間を決めていれば、受信トレイにメッセージが届くたびに気が散るといったことはないでしょう。

ディープワークを促進する

非同期コミュニケーションを使えば、邪魔者からの集中攻撃を阻止できるので、すなわち、ディープワークが促進されます。 「ディープワーク」とは、コンピュータサイエンスの教授で、ベストセラー作家のカル・ニューポートが用いた造語で、要するに、有意義な活動に時間を費やすことです。

チームメンバーが生産的になるには、優先順位が最も高いタスクにエネルギーのほとんどを集中させる必要があります。 チームメンバーが会議から会議へと移動に時間を費やしていては、おそらく断続的に気が散って、ディープワークに専念できないでしょう。

ニューポートは、優先事項から脱線させ得るあらゆるものから身を守る、気を散らすものがない要塞のようなものを自宅に作ることを提唱しています。 もちろん、これができる人は、かなり少ないでしょう。 しかし、もし効率性を高めたいなら、チームの注意散漫の予防は重要です。

同僚が絶えず雑談をしに来たり、Zoomで電話をかけてくれば、プロジェクトを実際に進展できるなど思えないでしょう。

非同期コミュニケーションの使用を増やせば、ニューポートが述べている、訓練をてこにして、稀有で価値のある結果を生み出す知的活動、そして能力を持続的に向上させる知的活動に従事できます。

非同期コミュニケーションでは、チームメンバーそれぞれが、自分の時間の管理という闘いに挑め、自分の基準でメッセージに返事ができます。

コラボレーションを実現する 

非同期コミュニケーションでは、チームでの共同作業が楽になります。 効率的にコラボレーションするには、1人の時間が必要です。 矛盾しているように感じるかもしれませんが、ディープワークのアイデアを尊重すれば、その理由が分かるでしょう。

非同期コミュニケーションを多用すると、チームメンバーが問題を指摘したり、コメントが寄せられるたびに、仕事の手を止めなくてもいいのです。 そのかわりに、自分の流れを乱さない方法で、重要なメッセージやメールを確認する時間を確保しましょう。

ミーティング疲れが減る 

その日の3つ目のミーティングを終えると、肉体的でなければ、精神的に疲労困憊。これは誰もが通った道です。

席で黙ったまま、手に負えない量の情報を与えられたその後は、何とかして気持ちを奮い立たせて、手元の仕事を完了させなければなりません。

非同期コミュニケーションを使えば、頻繁に行われるミーティングに出席する必要はなく、貯めている気力を奪われたり、気持ちが空っぽになることもありません。

熟考した返事が可能 

電話やビデオ会議で話をしていると、常に丁寧で熟考された反応が得られるとは限りません。 社交不安症になると、簡潔に説明をする能力がなくなり、会話に詰まりやすかったり、考えに一貫性がなくなったり、他の人から会話を妨げられやすくなります。

非同期コミュニケーションの世界では、念入りに考えて返事をする時間が十分にあります。

偽りなく記録できる 

ほとんどのプロジェクトでは、その進捗の事細かな情報を求める利害関係者や上司が大勢いるため、透明性が不可欠です。

非同期コミュニケーションでは、プロジェクトの進捗を開始から終了まで文書化でき、チームメンバーのインプットを含めた継続的な記録を作成することができます。

優れた管理が実現 

非同期コミュニケーションを使えば、プロジェクトの方向性を少しのコメントやメッセージだけで管理できます。

プロジェクト管理者であれば、非同期コミュニケーションで効率的なマイクロマネジメントができます。 チームメンバーが書いたドラフトに少しコメントを加えて必要な変更を瞬時に行うことも、情報を一元化しているハブにクラインアントからのフィードバックを含めることも可能です。

非同期コミュニケーションとは 2

非同期コミュニケーションのデメリット

非同期コミュニケーションには、メリットばかりではなく、デメリットもあります。

自然発生的な反応の欠如

すぐに誰かの注意を引かなければならない時があります。 非同期コミュニケーションは瞬間的反応を引き出す手段ではありません。

プロジェクトの予算が削られ、それ以上仕事をしても無駄になるかもしれません。 チームの仕事のやり方を変えざるを得ない(新型コロナウィルスの大流行のような) 外的な出来事が起こる可能性があります。 単に、クライアントのフィードバックにすぐに返信して、翌日の仕事を提示する必要があり、待っていられない場合もあるでしょう。

チーム文化の欠如 

メッセージングプラットフォームとメールだけでのコミュニケーションは冗漫になりがちです。 すべてのメッセージの背後に人がいることを忘れやすく、チーム間で不和が生じる恐れがあります。 

パンデミック後の仕事環境で最も重要な懸念事項の1つが、チームメンバー間で直接的な交流がなく、孤独感を感じやすくなることです。これは長い目で見ると意欲低下につながる可能性があります。

そのような点から、チームが適宜、自由に交流し、対面での会話から利益を得られるように、同期コミュニケーションを導入するのは賢明な判断です。

対面での問題解決の欠如 

テキストやメッセージ、メールでは、ニュアンスが伝わりにくい時があります。 文章は誤って解釈されやすいので、非同期コミュニケーションでは問題を一層悪化させるリスクがあります。

対立の解決や、複数のチームメンバーに影響を与える重要な出来事については、直接会うかビデオ通話を使って、取り得る解決法について徹底的に話し合うべきです。

非同期コミュニケーションを機能させるコツ

非同期コミュニケーションは、反応が遅く、時間がかかることもあれば、チームの生産性を記録的に向上させることもあります。 後者にするために、非同期コミュニケーションを機能させるためのヒントをいくつかご紹介します。

期待値を管理する 

チームの一員としてコラボレーションするためには、しっかりとしたコミュニケーションが必要ですが、これは意図せず達成できるものではありません。 強固なコミュニケーションラインを構築するためには、企業文化に合わせて、チームへの期待の概要を初めから伝えておく必要があります。

例えば、新規プロジェクトがパイプライン段階を終えて入ってきたら、 早い時期に、下記の質問に答えてください。

  • チームメンバーが達成したことを報告するタイミングはいつか? 
  • チーム全体での確認会議の頻度をどうするか? 
  • 変更や編集をした場合、それを知る必要があるのは全員か、それとも数人だけか?

透明性を確保する 

リアルタイムで会話をする機会が少ない場合、チームやプロジェクトの利害関係者になりそうな人たちに対して、できるだけ透明性を確保することが賢明です。

例えば、Aというタスクが完了した時点で、コメントやメッセージ、メールなどでタイムスタンプを付けることができます。 そうすることで、進捗のタイムラインが作成でき、プロジェクトに関わる全員が最新情報を入手できます。

目標を明確にする 

非同期コミュニケーションを使うなら、明確な目標に向かって仕事をするべきです。 そうしなければ、沈黙が長いがために、同僚たちが地球上から姿を消したかのように感じるかもしれません。

連絡を互いにどのように取るか、いつ取るか、どの程度の情報を含めるかについて、全員が同じ見解を持てるように、取り組んでいる事柄を初日から必ず確立しておきましょう。

チーム間で信頼を構築する 

信頼は効果的な非同期コミュニケーションの前提条件です。

信頼がなければ、メッセージやコメントを受け取った相手がその意味を解釈でき、それに従って行動できると思えないかもしれません。

時差を重んじる

異なるタイムゾーンにいる同僚に連絡する場合、すぐに返事が返ってくるとは限りません。 そのため、全員の勤務時間や個人の応答時間を尊重することが重要です。

合理的な応答時間を設定する 

メッセージを受信したチームメンバーが数分以内に返信すると期待するのは、現実的ではありません。チームメンバーにディープワークをさせたいのであればなおさらです。 プロジェクト開始当初から、メッセージを確認してほしい頻度をメンバーに明確に伝えておきましょう。

非同期コミュニケーションツールとして、Wrikeを使う理由 

Wrikeのような共同作業管理ツールは、企業の非同期コミュニケーションの改善に役立ちます。 Wrikeを使えば、どこにいても、チームメンバー全員と連絡を取り、効果的にコミュニケーションを取ることができます。

単にメールやメッセージを送るだけでなく、Wrikeでは、コンテキストに応じてチームメンバーに連絡することができます。 例えば、メッセージが特定のプロジェクトに関連する場合、そのプロジェクト内のタスクにコメントを追加できます。

また、Wrikeの高度なコミュニケーションツールを使って、音声コマンドやスマートリプライでメッセージを送信すれば、伝えたいニュアンスをすべて把握し、メッセージを最適化できます。

完全に透明なプロジェクト管理とは、チーム全員がプロジェクトやタスクの進捗状況を即座に確認できると同時に、利害関係者が仕事をすぐに評価できるアプローチです。

すぐに使用できる議事録テンプレートを使えば、メモを取るプロセスを合理化でき、書き終えたらすぐに、チームの全員がそのメモにアクセスできます。 そこから、チームはアクションプランを考え、プロジェクトの完了を後押しするタスクを作成できます。

コミュニケーションプランテンプレートは、主要プロジェクトのコミュニケーションラインを確立するためのフレームワークとなり、全員に最新情報を提供します。

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