作業が非常に多くのツールに散らばっていて明確な構造がない場合、混乱がすぐに生じます。
私は、チームが、プロジェクトの進行を維持するために、最新のステータスの追求、重複する処理、分断されたシステムのつなぎ合わせなどの作業に何時間も費やしているのを見てきました。 そのような状況でこそワークフローオーケストレーションが役に立ちます。すべてのツールをつなぎ、構造化された経路を定義できるので、すべてのタスクがスムーズに進み、予期せぬ事態も少なくなります。
このガイドでは、ワークフローオーケストレーションの実際の意味、実装する価値がある状況、実際に作業が簡易化されるようにシステムを設計する方法について説明します。 また、プロセスが複雑になっても、チームがWrikeを使用して認識を整合化し、迅速に適応し、勢いをつけている様子も紹介します。
重要なポイント
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ワークフローオーケストレーションは、ツールとプロセスと人をつなぐことで、複雑なシステム間の摩擦を減らし、明確性を高めます。
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オーケストレーションされたワークフローは、データの可視性、エラーの削減、スケーラビリティ、迅速な意思決定などの主要なビジネス成果をサポートします。
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一般的には、財務、カスタマーサポート、人事、サプライチェーン管理などの部門で使用されます。
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優れたワークフローオーケストレーションは、プロセスマッピング、適切なツールの選択、および、責任の明確化とトレーニングを伴うシステムの展開から始まります。
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Wrikeのようなソフトウェアは、強力な連携、カスタムのワークフロー自動化、および、複数のチームやプラットフォームにわたる作業を調整するためのリアルタイムの可視性を実現します。
目次:
ワークフローオーケストレーションとは?
ワークフローオーケストレーションは、作業が開始から終了までスムーズかつ効率的に流れるようにするために、異なるツール間でタスクとシステムと人を調整するプロセスです。
オーケストレーションは、ワークフローの各部分を個別に管理するのではなく、統一されたプロセスにすべてを結びつけ、引き継ぎを自動化し、データを同期し、可視性を実現することで、チームが摩擦を軽減してコントロールを強化しながらコラボレーションできるようにします。
オーケストレーションされたワークフローがもたらすビジネス価値とは?
ワークフローオーケストレーションは、単に構造を追加するためのものではなく、チームの集中力、適応力、各部門との協力体制の効率化を実現できるシステムを構築するためのものです。 実際のビジネスの優先事項にどのように役立つのかを以下に示します。
データ処理
複数のスプレッドシート、フォーム、未接続ツールにデータが分散している場合は、全体像の把握が困難になります。 そのようなデータをまとめるのがオーケストレーションです。 システム間におけるデータの流れを自動化して最適化することで、依存関係のあるタスクの追跡と、意思決定をリアルタイムでサポートするプロセスの構築が容易になります。
エラー処理
複数のステップや引き継ぎを処理するときには、抜けや漏れが発生しやすくなります。 オーケストレーションされたワークフローでは、すべての承認ステージがマッピングされ、割り当てられ、表示されます。 つまり、ギャップが減り、問題解決が速くなり、プロセスの信頼性が終始高まります。
データパイプライン
堅牢なワークフローオーケストレーションシステムはツールのバックボーンのように機能します。 Jira、Slack、Salesforce、内部データベースのどれを接続する場合でも、更新を自動的に同期するデータパイプラインを構築できます。これにより、すべての整合性が保たれ、最新ステータスの追跡に費やす時間を短縮できます。
デジタル変革
サイロ化された手動システムを合理化されたオーケストレーションに切り替えることは、デジタル変革における最大の成果の1つです。 これにより、品質や一貫性に対するコントロールを失うことなく、より迅速に適応し、明確に作業し、ビジネスの拡大に集中できます。
スケーラビリティ
プロセスがマッピングされてスムーズに実行されていると、作業負荷を倍増させることなく拡張できます。 オーケストレーションにより、ボリュームや複雑さが増しても効率を維持できる反復可能なシステムが構築されます。
コミュニケーション
全員が同じシステムで作業すると、コミュニケーションが非常に楽になります。 オーケストレーションでは作業を1か所にまとめることで、ツールの切り替えや最新情報の散在をなくします。 作業者、作業内容、完了した作業、次の作業がより明確になります。
ワークフローオーケストレーションの実例
オーケストレーションワークフローは、異なるシステム間での整合化と煩雑な作業の削減を必要としているチームにとって重要なコンポーネントです。 ここでは、さまざまな部門が実際のシナリオで活用する方法を紹介します。
カスタマーサポート
サポートでは明確さとスピードがすべてです。 オーケストレーションにより、ツール切り替えで時間を無駄にすることなく、エスカレーションやSLAフォローアップなどの特定のタスクをルーティングできるようになります。 システムがチャットログ、メール、顧客関係管理(CRM)ツールとつながっていると、サポートチームは、活動の加速化、遅延の削減、複数のシナリオに渡る円滑な業務の維持を実現できます。
人事
人事チームは多くの場合、複数のツールを介して、オンボーディングからオフボーディングまでのあらゆる作業を扱います。 ワークフローオーケストレーションは、更新の同期と書類業務の自動化を実現し、ITチームによるアカウント設定の迅速化に役立ちます。 また、利害関係者がプロセスの拡大に不可欠な最新情報を追い求めることなくデータを可視化できるようにし、同時に、ビジネスの成功にも貢献します。
マーケティング
マーケティングチームは、多くの場合、厳しい締め切りの中で、キャンペーン、コンテンツ、イベント、チャネル間調整をやりくりしています。 ワークフローオーケストレーションは、タスク管理、アセット承認、パフォーマンス追跡を1つの合理化されたプロセスにまとめることで構造化を実現します。 チームは、キャンペーンワークフローの自動化、トリガーに基づいたタスク割り振り、ブリーフからローンチまでのすべてのステップの追跡を実行できるようになり、アセットを追い求めたりメールを探したりする必要がなくなります。
複雑なワークフローのオーケストレーションを行うための3つのステップ
自動化に取り掛かる前に、チーム全体で作業がどのように進んでいるのかを確認してみましょう。 ワークフローオーケストレーションは、現在のフローとその分断点、および適切なツールと人をつなぐ方法を明確に理解することから始まります。 ここで、ワークフロー管理とプロセスオーケストレーションに対する私の取り組み方をご紹介します。
ステップ1:プロセスをマッピングする
効果的なプロセスマッピングは、プロセス内のすべてのタスク、フェーズ、引き継ぎをリストアップすることから始まります。 私はワークフロー図を使うのも便利だと思いました。 特に、レガシーシステムを使用している場合やツールが散在している場合には、責任者、使用されているツール、行き詰まりやすい箇所を書き留めておいてください。
承認の停滞やデータ入力の繰り返しなどの問題に注意しましょう。 このような問題は、プロセスの自動化とより緊密な調整が機能する兆候です。
図式化する必要ありませんが、問題の内容と発生箇所を明確に把握できるものが必要です。 それが、接続が強化された効率的なシステムを構築するためのブループリントになります。
既存のワークフローを改善したい場合は、まず現在の状況を完全に理解する必要があります。
ステップ2:ワークフローオーケストレーションツールを選択する
プロセスがマッピングされたら、システムの接続と作業進捗の簡易化を行うためのプラットフォームを探します。 強力な連携、柔軟な自動化、ローコード設定を備えたツールを探しましょう。そうすれば、IT部門以外のチームでも構築と適応を迅速に行えます。
目標は、手動作業をスマートルール(タスクの自動割り当てや、ステータス変化に伴う次のステップのトリガーなど)に置き換えることです。 優れたツールは、さらに、依存関係の追跡に対応でき、チーム間の調整に役立ち、アプリに散在している作業を一元管理できるものであるべきです。
適切なワークフロー管理ソフトウェアを使用すると、既存のプロセスを管理しやすくなり、拡張も容易になります。
強力な連携
必要なのは、チームがすでに使用しているビジネスアプリと連携するプラットフォームです。 CRM、チャットツール、またはドキュメントストレージのどれであっても、オーケストレーションシステムによってすべてが1つの作業スペースにまとめられ、システム間の行き来や作業の重複が不要になります。 複数のプラットフォームにわたるサポートと、強力なAPIアクセスを求めましょう。 たとえばWrikeは、400以上の連携に対応しており、独自開発の機会を提供します。
カスタマイズ可能なプロセス自動化ルール
オーケストレーションがその真価を発揮するのは、日常タスクの自動化です。 最適なツールを使えば、実際のワークフローを中心に据えて自動化ルール(タスクの自動割り振り、ステータスの変化に基づいた作業進行、依存関係の変化に伴う更新のトリガーなど)を構築できます。 最低限のセットアップで、遅延をカットし、人的介入を減らし、エンドツーエンドのプロセスを維持できます。
ツールの可視性
優れたオーケストレーションツールは、重要なものを表面に浮かび上がらせます。 情報を掘り下げることなく、所有者、所有内容、プロジェクトの追跡方法、障害の所在箇所を確認できます。 ダッシュボード、レポート、リアルタイム更新により、ギャップを簡単に見つけて迅速に調整できます。 また、利害関係者は必要なものを周りに尋ねることなく入手できるようになります。
AIと高度な機能
最新のワークフローオーケストレーションプラットフォームは、機械学習や自然言語サポートなどの機能が加わり、急速に進化しています。 これらのツールは、ITチームが、プログラムによる自動化の構築、データレイクの関rい、定常的な手動入力のない複雑なプロセスの処理を行う際に役立ちます。
ワークフローオーケストレーションは、タスクの自動化、エラー処理の強化、リソース配分の改善を実現できると同時に、あらゆることを実際のビジネスニーズに一致させることができます。 拡張が容易になり、人的監督が削減され、さまざまなシステム間で業務の合理化が促進されます。
ワークフロー自動化とスマートオーケストレーションを連携させれば、ステップを効率化できるだけではありません。 需要への継続的な対応、ワークフローのパフォーマンスの向上、チームを重要な作業に集中させる透明性の確保を実現する柔軟性なシステムを構築できます。
Apache Airflowとオープンソースのオーケストレーションツール
チームが深い技術的専門知識を備えている場合、Apacheなどのツールを導入すれば強力なオーケストレーション機能を活用できます。 これらの機能は、Pythonを使用してデータストリームを構築し、タスク依存関係を自動化するのには優れていますが、かなりのセットアップと継続的なDevOpsサポートが必要です。
コーディング不要のオーケストレーションを求めるビジネスユーザーは、Wrikeのローコードプラットフォームを利用すれば、自動化、連携、可視化を単一の作業スペースで実行できます。有向非巡回グラフの管理やコンピューティングリソースのプロビジョニングは必要ありません。
ステップ3:オーケストレーションされたワークフローを実装する
新しいワークフローの導入は、単なる技術的なステップではなく、すべてが結びつくタイミングです。 実装により、計画が具体化され、より一貫性の高いプロセスの基盤が構築されます。 しかし、このようなシフトは意図的なものでなければなりません。
まず、システムアクセスを割り当てて、複数のシステムに渡ってセットアップを確認します。 このステップは、クラウドサービス、顧客データ、または人事ツールをつなぐ大規模なチームやプロセスにとって特に重要です。
次に、運用に焦点を当てます。 運用を確実なものにする方法は以下の通りです。
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新しいセットアップの複雑さに合ったトレーニングとオンボーディングを計画し、チームに対して実施します。 必要に応じて順応する時間を与え、変更管理テクニックを追加してください。
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新しいオーケストレーションのパフォーマンスとチームの順応状況を追跡するためのレポートプロセスをセットアップします。
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指標やチームのフィードバックの中で最適化の機会を探します。 この時点で、問題を早期に発見し、作業を進めながら微調整を行います。
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最強のワークフローのブループリントを作成します。こうすることでワークフローを一から作り直さなくても再利用できます。
システム内の個々のタスクの流れを標準化し、反復タスクを減らすことで、チームはより価値の高い作業に集中できます。 この段階は何度か繰り返す必要があるかもしれませんが、オーケストレーションを永続的なビジネスインパクトへと変えるのはまさにこの段階なのです。
ビジネスプロセスにおけるワークフローオーケストレーションのベストプラクティス
私は、複雑なワークフローに携わった経験から、オーケストレーションはチームが実際に必要とするものに根ざしている場合にのみ機能することを知っています。 オーケストレーション戦略を構築する際には、目新しいシステムを探すのではなく、人々が中断することなく迅速にしっかりと業務を遂行できる仕組みを作り上げることです。
ビジネスにとって重要なことから始める
私は何よりもまず、改善しようとしているビジネスプロセスを明確にします。 具体的には、タスク引き継ぎの合理化や、ビジネスプロセスの自動化のサポート、人為的ミスの削減などが考えられます。 それが何であろうと、私はそれを軸として扱います。 そうすることで、ワークフローオーケストレーションは、技術のための技術ではなく真の目標に沿ったものとなります。
完璧さではなく拡張性を重視して構築する
私は初めから全部を自動化しようとはしません。 細かいこと、つまりいくつかのタスクだけを自動化することから始めて、プロセスを成長させていくのです。 最高のオーケストレーションワークフローはビジネスとともに進化します。特に複雑なプロセスや限られたリソースを扱っている場合はなおさらです。 完全なオーバーホールを無理強いするよりは、一つの問題をうまく解決することの方が重要なのです。
すでに使用しているツールを接続する
優れたワークフローオーケストレーションプラットフォームがあれば、チームは速度を落とすことなく、システム同士を通信させることができます。 私は、チームの働き方を反映した連携機能(タスクのスケジュール管理、ファイル共有、承認プロセス)に重点を置き、時間を節約できる箇所にワークフロー自動化を組み込んでいます。 これにより、パフォーマンスが向上して手作業が減ります。
可視性を第一に
私が常に重視しているのは可視性です。 チームが他人に尋ねたり、複数のアプリを調べたりしなくても、作業の進行状況を把握できるようにしたいのです。 ワークフロー管理で重視すべきはスピードだけではありません。全員が認識の整合性を維持してボトルネックを回避できるように、共有コンテキストを作ることも重要です。
再検討、洗練、反復
完璧な状態が永遠に続くプロセスなどありません。 私は、遅延が発生しそうな部分や、ステップによる付加価値を期待できない部分を探します。 優れたプロセスオーケストレーションとは、応答性の維持、つまり、ビジネスニーズの変化やチームの成長に合わせてシステムを適応させることを意味します。
ワークフローオーケストレーションのユースケース
ワークフローを分析し、ワークフローオーケストレーションの原則を適用することは、あらゆる業界のチームに役立ちます。 それを証明するために、Wrikeでワークフローの構築と最適化を行った3つのチームに、解決したい問題、現在頼りにしているツール、実感したメリットについて話を伺いました。
Siemens Smart Infrastructure
Siemens Smart Infrastructure社では、情報のサイロ化とツールの分断が原因で業務が滞る事態が発生しました。 複雑なプロジェクトと利益率の低い小規模な仕事が増える中、より統合されたシステムを必要としていました。 Wrikeのワークフローオーケストレーションを使用することで、散在するシステムを、SAP連携、モバイルダッシュボード、柔軟なテンプレートを備えた単一のプラットフォームに置き換えました。
現在、20か国にいるチームメンバー14,000人が、認識を整合化し、規模を問わず一貫したビジネスプロセスを維持しています。
BigCommerce
BigCommerce社は、企業顧客向けサービスの拡大に乗り出した際、スプレッドシートやドキュメントが散在していて整理できない状態に陥っていました。 そこで、Wrikeを利用して、Slack、Salesforce、Jiraなどのツールを接続するためにワークフローオーケストレーションシステムを使用しました。 タスクが自動的に移動するようになり、プロジェクトの立ち上げが速くなり、チームの同期状態が保たれるようになりました。
この新たな作業方法により、現在は、企業クライアントへのサービス提供が容易になりました。 この変革(およびチームの努力)の結果として、BigCommerce社では採用率が102%増加し、レポート作成が迅速化し、価値創出までの時間や顧客満足度などの重要業績指標(KPI)でも大きな進展が見られました。
Ogilvy Australia
Ogilvy社では、紙ベースのシステムを廃止し、明確さと一貫性を求めて、シドニー、メルボルン、ブリスベンのオフィスにWrikeを導入しました。 ワークフローオーケストレーションが整備されたことで、チームはクリエイティブ系の作業、レビュー、承認を一つのプラットフォームで追跡できるようになりました。 クリエイティブブリーフの作成は合理化されたリクエストフォームを通じて開始されるようになり、従来のやりとりが、より迅速で明確なプロセスに置き換わりました。
デジタルオペレーションディレクターのPedro Da Palma Rosa氏によると、このシフトにより「多くの時間と労力」が大幅に削減され、デジタル、印刷、テレビの各チームが、大規模プロジェクト全体で連携を保てるようになったそうです。
あらゆるチームに適した直感的なワークフローオーケストレーションツール
ワークフローオーケストレーションは、最適なツールを選択し、ビジネスプロセスを統合し、チームの作業効率を大幅に向上させる革新的なプロセスです。
ワークフローオーケストレーションは、コラボレーション、最適化、および手作業削減に重点を置いており、組織を拡大したい場合やより複雑なタスクに取り組みたい場合に活用すれば、はるかに有利な立場に立つことができます。 これはどの企業にも利益をもたらします。
Wrikeを使用してワークフローの一元化とツールの連携を行えば、変革を導いて新しい作業管理アプローチを実施するために必要なすべてのツールとサポートを手に入れることができるのです。

